第 20 回


指導する原 准教授と真剣な表情の学生たち
金沢美術工芸大学工芸科
工芸科1年工芸演習

金沢市小立野5-11-1
●TEL:076-262-3531

 1946年の創立より今日まで、美術・工芸、デザインなど各芸術分野における人材を育成し、一線で活躍するスペシャリストを世に送り出している金沢美術工芸大学。国際的にも注目される伝統工芸都市金沢の地で、これまでも、またこれからも、その発展の一翼を担っています。

 今回は、金沢美大工芸科の科目「工芸演習」のひとつ、「彫鍛金」の演習授業を訪ねました。工芸演習では、春に入学した新入生が1年間をかけて陶磁、漆・木工、鋳金、彫鍛金、染織に必要な技術を、実際の作業を通して修得していきます。各自、目指したい工芸分野を見極めるための、大切な基礎となる演習です。

 彫鍛金の指導をされているのは工芸科の原 智准教授で、まず鍛金による器の形づくりにはじまり、さらに器の表面に象嵌を施し、内側に金箔を貼って「スイングカップ」に仕上げます。これだけの作業を10日で仕上げるのは時間的にも結構厳しく、演習時間外に土日や朝早くの作業も必要とか。まだ入学してから半年あまりの初々しさの中に、工芸家の目で作品と向き合う姿がそこにありました。

 金工は"作りたい"というものを発想してから形にするまで他の工芸の分野より時間がかかる、地味な作業の連続です。そんな地道な作業でも、ひとつひとつを真面目に取り組めば必ずいい作品が作れる、と原先生。先生の指導のもと金箔貼り作業をすすめる彼らも、年末までには進む分野を決めることになりますが、なりたいと思い描いた自分と、近い将来の自分がともに同じであることを願っています 。

 
「金属ってどう?」と聞くと「楽しいです!」との返事が

課題のスイングカップ


彫金の重要無形文化財保持者である中川 衛教授(左)も工芸演習の指導にあたられています


厳しさの中にも、時にはこぼれる笑顔の会話
 




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