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第 16 回 | ![]() |
![]() 新作「道標」を前に |
中村 喜久雄氏 日展会友 プロフィール
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大誓・秀水(だいせん・しゅうすい)の雅号をもつ中村喜久雄さん。昭和47年の日展初入選より日展作家として、また昭和48年の現代工芸展初出展から30年近く出展してこられた中村さんですが、還暦を機に、日展、現代工芸展から離れ、新しい作品づくりへの取り組みを始められました。 家業である焼型鋳造を幼い頃より見て育ってきた中村さんは、“門前の小僧”のごとく鋳造の技術を自然におぼえ、小学生のときには干支の銅像など銅器作りの仕事ができるようになっていたとか。高岡商業高校を卒業後、父・中村外次郎に師事し本格的に鋳造全般の技術を習得。昭和56年より中村美術工芸の二代目に。現在は、高岡市美術作家連盟の顧問のほか、高岡銅器後継者育成事業の講師を務められるなど、地元高岡の地場産業振興のためにも尽力されています。 中村さんが作品を生み出すとき、その時代に起きたことや時代を象徴しているものをイメージすることが多いのだそうです。たとえば、彗星が地球に接近する年には流れ星をイメージする作品だったり、阪神大震災後には、復興への願いをこめ生命の息吹を作品に表現。作品を見れば歴史がわかる、それが中村さんの作品の特徴でもあります。平成2年からは焼型鋳造とあわせガス型鋳造での作品を発表。最近では、自然現象「蜃気楼」をイメージした作品を手がけられています。造形の一部が次の作品につながっていくというのも中村さん流作品づくりのスタイルで、一度生み出された「蜃気楼」の造形の一部が、また次のテーマの作品へと受け継がれています。 シドニーオリンピックでは、柔道の「一本賞」トロフィーの制作を手がけられた中村さん。「鋳物屋だから」と微笑みながら口にされた一言に、鋳物だから表現できるすばらしさ、奥の深さを知る中村さん独自のモノづくりへの思いが込められているように感じられました。 |
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![]() 作品づくりに取り組む息子さんへアドバイス ![]() 蜃気楼をイメージした作品 ![]() 遊び心たっぷりの「大仏の涙」 |
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