第 15 回

畠 弘政 

プロフィール
1976年 高岡市金屋町生まれ。
短大卒業後、父である二代畠春斎氏に師事
2006年 「四方釜」が第54回日本伝統工芸展「朝日新聞社賞」を受賞

 鋳物の発祥地として、およそ400年もの歴史を伝える高岡市金屋町。千本格子が施された家々が続く、そんな町の一角に、代々鋳物師として続く茶の湯釜一筋の畠春斎家があります。二代畠春斎さんが一昨年の秋に他界され、現在、息子さんの畠弘政さんが畠春斎家の伝統を守りつつ、新しい表現力を取り入れながら、茶の湯釜づくりに取り組んでいます。

 代々続く釜師の家に生まれた弘政さんは、金城大学短期大学部の陶芸コースに進んだものの、卒業後は父である二代目畠春斎氏のもとで釜づくりを一から学ぶことに。「自分の作品をつくるのは一通り学んでから」という父の教えで10年間の修行を積みます。

  そんな修行が続いたある日。「伝統工芸展に出すものを作ってみなさい」と父から急に言われたとき、自分自身の作品を一から作り上げることの大変さを知ったといいます。その後、日本伝統工芸展への二度目の出展で、第54回日本伝統工芸展「朝日新聞社賞」を受賞。“父畠春斎から修得した確かな技術とすがすがしい現代感覚にあふれる上品な作品である”との選出のコメントがあるように、川の波をイメージした細かな模様が、四角い形の平釜のフォルムに映えた美しい茶釜です。ほかにも弘政さんの茶釜は、丸であれ角であれ、独特のやわらかなボディラインが特長的で、そのフォルムには繊細な美しさが感じられます。

 茶の湯釜の制作は、木型、鋳型、鋳込みなど仕上がるまでを一人で手がけます。これまでは父にアドバイスをもらっていたことも自分自身で考えながら制作しなければならないので悩むこともあるそうですが、「幸いにも近くの先輩方々からアドバイスいただけるおかげで先にすすんでいます」と話す弘政さん。自然界の風景や草花、美しい模様など心に響くものに出合ったとき、それを茶釜全体の形にイメージを膨らませるのが弘政さん流のモノづくりの方法だとか。寝ているとき以外はいつも釜のことを考えていたと父について語ったように、弘政さんもそんな生き方をすすんでいらっしゃるようでした。



初代・二代畠春斎氏の作品の数々


高岡市金屋町の町並み


弘政さんの作品のひとつ


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