第 11 回

田口 壽恒 
社団法人日本工芸会正会員 参与

プロフィール
1940年 東京都文京区に生まれる
1959年 都立工芸高等学校金属工芸科卒。父、田口恒松に師事
1972年 日本伝統工芸展、伝統工芸日本金工展、伝統工芸新作展などに初入選  以降毎回出品
1980年 伝統工芸新作展にて「黒味銅面取鉢」が東京都教育委員会賞を受賞
1982年 伝統工芸新作展にて「黒味銅線文鉢」・伝統工芸日本金工展にて「鍛朧銀鉢」がそれぞれ日本工芸会賞を受賞
1984年 日本伝統工芸展にて「鍛朧銀面取鉢」が日本工芸会総裁賞を受賞
1996年 日本伝統工芸展にて「鍛朧銀四方水指」が奨励賞を受賞
  ほか多数の賞を受賞
2006年 重要無形文化財保持者に認定

 東京の文京区、団子坂を上り横道を少し行くと、「コンコンコン、コンコンコン」とリズミカルに金属を打つ鎚音が、かすかに聞こえてきます。
そこは、昨年鍛金の重要無形文化財保持者(人間国宝)に認定された、田口壽恒さんのご自宅兼工房です。
近くの別の場所にあった工房で、お爺様の代から鍛金制作を家業として、注文制作を主に煎茶道具や銀器を作っていらしたそうですが、工房が戦争で焼けてしまったため、昭和22年に今の場所に引っ越してきたそうです。
ものづくりがお好きで、中学生の頃から家業の手伝いをなさっていたせいか、昭和34年の高校卒業を機に自然とこの世界に入ることが出来、以来かれこれ48年になるとのことです。
ものづくりが好きといっても、繰り返し同じものを制作するのはつまらなく思い、昭和47年から、日本伝統工芸展や日本金工展等の展覧会に出品なさるようになったそうです。10年程前からは、娘さんの典子さんも加わり、現在は親子二人でお仕事をなさっています。典子さんは、金沢卯辰山工芸工房を修了後、やはり日本伝統工芸展等に出品、そしてご出産後も引き続きご活躍なさっています。
10数年後には、親子孫三代でコンコンコンという金鎚の音が、団子坂上から聞こえてくるかもしれません・・・。

制作につかう道具類


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