第 10 回

金沢卯辰山工芸工房「金工工房」
■金沢卯辰山工芸工房
金沢市卯辰町ト10番地 1076-251-7286 ●開館時間/9時〜16時30分

金沢の伝統工芸の継承発展と文化振興を図るため、加賀藩御細工所の精神を現代に活かした工芸の総合的な機関として平成元年に開設。「育てる」「見せる」「参加する」という3つの基本テーマに沿った活動が展開されている。常設展ほか特別展などが開催される展示棟、研修施設である工房棟からなる。

 金沢卯辰山工芸工房の活動の一つに、工芸振興に寄与する人材の育成があります。研修施設内には、陶芸、漆芸、染、金工、ガラスの5工房があり、全国各地から集まった研修者たちが、それぞれの工房にて創作活動を行っています。

今回は、加賀象嵌などの彫金、鍛金が主となる「金工工房」を訪問。現在5人の研修者たちが独自の作品づくりに取り組んでいます。ここは研修の場でありながらも、自分自身で技術を磨き、独自の表現力を養う場。言うなら、研修者一人ひとりの工房でもあるのです。道具づくり、技法の習得、造形の訓練を重ねながら、それぞれの方向性を目指す研修者たち。2〜3年の工房研修後には、確かな技法と優れた造形感覚を兼ね備えた工芸家としての出発点を迎えるわけで、そんな皆さんたちからの一言を紹介します。
坂井直樹さん
(群馬出身3年目/鍛金)
金属をもっと身近に感じてもらえるよう、日常の中で幅広く使えるものを作っていきたいと思っています。
松川明日香さん
(北海道出身3年目/鍛金・彫金)
作品づくりでは自然物をモチーフに。ここでは同じ素材を扱う仲間がいたり技法を詳しく聞くことができたりと、工芸について深く知ることができます。
木瀬浩詞さん
(滋賀出身3年目/鍛金)
ここは全国的にもあまりないシステムでありがたい。作品づくりでは銅をたたきながら、絞った表情を残す方法で表現しています。
第63回金沢市工芸展「宗桂会賞」受賞     第48回石川の伝統工芸展「奨励賞」受賞
今城晶子さん
(広島出身2年目/鍛金・彫金)
ここはいろんな技術をもった人達と身近に接しながら制作活動ができるので、刺激になります。
青木有理子さん
(富山出身1年目/彫金)
まず目標を決めて作るものが決まります。自分自身の方向性を見つめながらここでの活動に取り組んでいこうと思います。

金沢卯辰山工芸工房の専門員・村上浩堂氏(前列中央)とともに、金工工房にて]


戻る