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第 7 回 | ![]() |
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上野専一郎氏 加賀象嵌伝承研究会 日本美術刀剣保存協会本部会員 |
創業1896年、百数年続く金物屋「かみのや」のご主人上野専一郎氏。お店を営む傍ら、日本美術刀剣保存協会の会員として刀剣に秘められた魅力と文化をこよなく愛する上野さんは、自らの手で刀装具「鐔」を製作する彫金作家でもあります。 上野さんの家には、ご先祖が蒐集された刀剣類のコレクションがあり、幼い頃から小柄や鐔といった刀装具を目にしていたとのこと。そんな上野さんが鐔を作るようになったきっかけは、加賀象嵌作家宮薗士朗さんからの、日本美術刀剣保存協会が主催する「刀職技能訓練講習会」参加への誘いでした。 平成2年より、刀装金具作製の技能訓練講習会を10年ほど続けて受講。自分が生まれた地には加賀象嵌という技法があることから彫金を専攻。協会主催の新作刀展覧会に初めて応募した時の結果がブービーに終わり、そこで一念発起。「ちゃんとやらんなんな」という話を飲み屋で話したところ、たまたま話が新聞社に伝わり上野さんの鐔づくりが記事に。まるで、筋書きが用意されていたかのように、“必然的に鐔づくりに本腰を入れることとなったのだ”と、笑顔でエピソードを語る上野さん。その後、作品が日本美術刀剣保存協会が主催する新作刀展覧会の努力賞に選ばれること6回。入賞された作品をはじめ、加賀象嵌本来の繊細で精緻な技法が表現されている作品の数々から、上野さんの持って生まれたものづくりのセンスと才能が感じられます。 上野さんの将来の展望は自作の個展を開くこと。また、今ではなかなか出せなくなった緋色銅を再現できたらとも。鐔のほか、いろいろな作品づくりにもチャレンジされている上野さんの、さらなるご活躍を期待いたしております。 ※鐔は大きく分けると鉄鐔と金工鐔に分けられ、鉄鐔は透かしの美しさが魅力で、金工鐔は装飾品としての色合いも濃く、江戸時代中期以降は後藤顕乗や程乗など、多くの名工を輩出。鐔は美術性に富む工芸品ともいえます。 |
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![]() 桜樹之図鐔 〈銘 賀州小松住 専一郎作〉 ![]() 群蝶之図鐔 〈銘 賀州小松住 専一郎作〉 ![]() 鐔のほかにこんな作品も |
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