第 6 回

中村 滝雄 
高岡短期大学教授


プロフィール
1952年 東京都北区に生まれる
1978年 東京藝術大学大学院美術研究科鍛金専攻終了
1985年 東京藝術大学美術学部講師勤務

 東京で生まれ育った中村滝雄さんが富山県に転居して今年で18年。

  「鉄にふれあうようになってから自然のあるところへと足が向くようになった」と語る中村さんは、現在、高岡短期大学産業造形学科で鍛金技法を教える傍ら、鍛造した鉄とコンクリートやワイヤーを組み合わせるなど、現代美術の分野で作家として活躍されています。

  東京藝術大学で鍛金を専攻していた中村さんは、銅の素材のやわらかさが、あまりにも自分のイメージ通りになることから、大学院時代のある時、鉄という素材に着目。鉄を扱ったときに、反発するその鉄が、まるで生きているように感じたのだとか。中村さんにとって鉄の特徴を生かした造形とは、鉄の存在感を演出してやることだと話されます。それは、鉄を支配するのではなく、鉄の反応を生かしながら鉄の素材感をひきだすことで、鉄本来の姿が表現できるとも。中村さんの生み出す作品には、時間が生み出した鉄の変化がそこに現れていたり、“やわらかさ”や“温かさ”といった、私達が認識している鉄とは別の表情が存在しています。

  そんな中村さんの鉄への思いには、自然と共に生きようとしてきた日本人古来の自然観に通じるものがあるように感じられました。

表出 ー基のゆらぎー 2001年
鉄をたたいて半球状にした器に水を入れることで、ガラスによる人工の水平面と自然物の水平面を対比させている


2003年神通峡美術展・神通峡美術賞
「7つの気孔」


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